メタボの話に戻ろう。糖尿病や脂質異常症、高血圧は一見すると、別の病気みたいだ。確かに別の病気なのだが、おなかに脂肪をため込んでいるひとは、これらを併発しやすいいことがわかってきた。
おなかの中の脂肪、医学的には「内臓脂肪」という。
おなかの皮をつまむと、下の脂肪組織を一緒につまめるが、これは皮下脂肪。内臓脂肪は腸の位置を保持している膜などにたまる脂肪で、外からはつまめない。
その内臓脂肪が異常にたまるのが内臓肥満。内臓脂肪からさかんに分泌される悪玉物質が、糖分や脂肪の代謝を狂わせ、生活習慣病にかかりやすくなるたちの悪い肥満であることがわかって、内臓肥満からくるこの危険な状態を代謝症候群、つまりメタボリックシンドロームと呼ぶようになったわけ。
千葉、富山、鹿児島の3県の高校生男女1500人を対象に行われた厚生労働省研究班の調査によると、内臓肥満、血糖が過剰、中性脂肪が過剰、善玉コレステロールが不足、血圧が高い、の5つのうち3つ以上が当てはまった人は男子の5%、女子の3%だった。
この人たちはすでに立派なメタボだが、驚くのは、1つ以上に該当する人が男子の44%、女子の42%にものぼっていたこと。なんと高校生の4割がメタボ予備軍なのだ。
いまの学校保健安全法では、年1回の健康診断で血液検査や血圧測定を学校に義務付けていないから、血糖や血中脂質、血圧などに異常があるかを知るすべがない。ましてや内臓脂肪がたまっているかどうかは人間ドックでCTスキャンでも撮って、おなかを輪切りにした画像を見ない限り、わからない。
でも、内臓脂肪を推測することはできる。腹囲を測るのだ。
腹囲の測り方は、まずおへその高さでおなかに水平にメジャーを巻きつける。息を大きく吸って、ホッと吐き出し、おなかが緩んだ瞬間のサイズを測る。
測ったサイズが80センチを超えたら、メタボの疑いがあるので、医師の診察を受けるよう、研究班はすすめている。
80センチ以下でも、月1回くらい腹囲を測ってみて、だんだん増えてきたら、内臓脂肪がたまり始めた可能性がある。対策が必要だ。