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 カラダにたまる脂肪は貯金みたいなもので、食事で摂取するエネルギーを上回ると、余分なエネルギーが脂肪として蓄えられる。でも、同じ脂肪でも、内臓脂肪と皮下脂肪ではたまり方が異なることがわかっている。

 皮下脂肪はたまりにくい半面、いったんたまると、なかなか落ちにくい。内臓脂肪はちょっとの油断でたまりやすく、でも、ちょっとの努力で落ちやすい。いわば内臓脂肪は普通預金、皮下脂肪は定期預金。毎日の生活習慣のちょっとしたことで、内臓肥満は防げるのだ。


 例えばテレビ。さっきの調査で、テレビを見る時間が長い人は、血糖や血圧の値が悪かった。テレビを見るときは、ソファでくつろいだり、ごろんと横になったりするよね。1日の中でそんな時間が長くなると、内臓脂肪はたまりやすい。

 研究班はテレビを見る時間を1日50分以内、休日でも100分を超えないように勧めている。これじゃ、見たい映画も見られない。テレビを見ること自体ではなく、テレビを見ているときのカラダの甘やかし方が問題なのだから、たまに映画を見たい時は、寝そべったりせずに、立ったまま見るといい。

これ、冗談ではなく、専門医のエライ先生がすすめている内臓肥満の予防法なのだ。
 メタボの話に戻ろう。糖尿病や脂質異常症、高血圧は一見すると、別の病気みたいだ。確かに別の病気なのだが、おなかに脂肪をため込んでいるひとは、これらを併発しやすいいことがわかってきた。

 おなかの中の脂肪、医学的には「内臓脂肪」という。

 おなかの皮をつまむと、下の脂肪組織を一緒につまめるが、これは皮下脂肪。内臓脂肪は腸の位置を保持している膜などにたまる脂肪で、外からはつまめない。

 その内臓脂肪が異常にたまるのが内臓肥満。内臓脂肪からさかんに分泌される悪玉物質が、糖分や脂肪の代謝を狂わせ、生活習慣病にかかりやすくなるたちの悪い肥満であることがわかって、内臓肥満からくるこの危険な状態を代謝症候群、つまりメタボリックシンドロームと呼ぶようになったわけ。

 千葉、富山、鹿児島の3県の高校生男女1500人を対象に行われた厚生労働省研究班の調査によると、内臓肥満、血糖が過剰、中性脂肪が過剰、善玉コレステロールが不足、血圧が高い、の5つのうち3つ以上が当てはまった人は男子の5%、女子の3%だった。
 この人たちはすでに立派なメタボだが、驚くのは、1つ以上に該当する人が男子の44%、女子の42%にものぼっていたこと。なんと高校生の4割がメタボ予備軍なのだ。


 いまの学校保健安全法では、年1回の健康診断で血液検査や血圧測定を学校に義務付けていないから、血糖や血中脂質、血圧などに異常があるかを知るすべがない。ましてや内臓脂肪がたまっているかどうかは人間ドックでCTスキャンでも撮って、おなかを輪切りにした画像を見ない限り、わからない。

 でも、内臓脂肪を推測することはできる。腹囲を測るのだ。

 腹囲の測り方は、まずおへその高さでおなかに水平にメジャーを巻きつける。息を大きく吸って、ホッと吐き出し、おなかが緩んだ瞬間のサイズを測る。

 測ったサイズが80センチを超えたら、メタボの疑いがあるので、医師の診察を受けるよう、研究班はすすめている。

 80センチ以下でも、月1回くらい腹囲を測ってみて、だんだん増えてきたら、内臓脂肪がたまり始めた可能性がある。対策が必要だ。
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