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さっきのネズミの実験をみると、DHAでネズミの学習記憶能力高まったかのように考えがちだが、そもそも、その見方がまちがいではないか。DHAを食べたネズミは、頭が良くなったというよりも、プールに放り出されたパニック状態のなかで落ち着いて行動できたのではないか。
つまり、DHAにはココロを落ち着かせる効果があるのではないか、と同グループは考えたのだ。

そこで、試験前でピロピロしている学生を対象に、DHAを摂取する実験が行われた。心理テストの結果、DHAを摂取していた学生は、ピリピリした緊張からくる攻撃性が和らいでいることが分かったそうだ。

残念ながら、その結果、試験の成績に差があったかどうかまでは調べられていない。でも、試験のとき、極度の緊張のあまり脳ミソが真っ白になり、何も書けなかったとか、実力の半分も出せなかったというのはよく聞く話。本番に弱い人には朗報かもしれない。高いお金を出してサプリメントを買って飲むほどではないにしても、普段の食生活でDHAを多めにとれるなら、とっておくに越したことはないだろう。

さて、DHAをたっぷり含むのが、秋においしいサンマだ。おなかがぽってりとして、あぶらののったサンマはDHAの宝庫。網で焼くところを見ていると、あぶらがポタポタ落ちてジュージューいっているけど、あのあぶらにDHAが含まれているのだ。

旬のサンマは安い。一尾100円で買える。毎日、夕食にサンマが出ても、お母さんに感謝しよう。
DHAという名刺は聞きおぼえがあるだろう。ドコサヘキサエン酸の英語の頭文字をとった略称で、脂肪を構成する脂肪酸の仲間だ。

DHAは僕らの脳ミソと深い関係がある。

脳細胞は、赤ちゃんの時から一度も細胞分裂をしない非分裂細胞。なのに、成長期には脳ミソがどんどん重たくなる。これは勉強やスポーツや人間関係などの経験を積むたびに、脳細胞と脳細胞が連結されて、脳ミソの情報ネットワークができるからだ。脳細胞と脳細胞がつながる部分をシナプスという。DHAは、そのシナプスに欠かせない成分なのだ。

DHAは、食材では魚に多い。イギリスのある学者が、日本人の子供の知能指数が高いのは魚を食べてDHAを補っているからだという説を発表してからDHAは大ブレイクした。

この説が本当かどうか多くの研究者が調べているが、結論は出ていない。でも、たとえばこんな実験結果がある。

ネズミを1メートル四方の足のつかないプールに放すと、足のつく場所を探して必死に泳ぐ。プールの中央に台を設け、この実験を繰り返すと、ネズミは台の場所をおぼえて、台にたどり着くまでの時間がだんだん短縮されてくる。
では、ネズミを2つのグループに分け、一方には普通のエサを、他方にはDHAを多く含むエサを与えながら、この実験を行うと、どうなるか?

結果は、期待通り。DHAを食べたネズミのほうが台を早く見つけることができたのだ。

でも、これはネズミの話。ヒトでは証明されていない。つまり、ふだんDHAの摂取量が多い人と少ない人で、勉強の能率とか大学の合格率が違うなんてデータは出ていない。

DHAの人に対する効用については、富山医科薬科大学の研究グループがユニークな発想にもとづく実験を行っている。次回はこれを紹介しよう。
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